すみなすものは

映画、文学、人文情報学(デジタルヒューマニティーズ)についての話題あれこれ。時には日経平均ウォッチャーとしての雑感も。

モリコーネ

本日、下高井戸シネマにて、「モリコーネ 映画が恋した音楽家」を鑑賞。

いやぁ、まずですね、このサブタイトルは何とかなりませんかね、「恋した」とか、そういう次元ではないのですが。

私なら様々な意味を込めて「最後のマエストロ」とします。ググったところ、残念ながら、書籍のタイトルで既に使われているようですが、お構いなしです。

映画が恋した? はて…

モリコーネの音楽をあまり聴いたことがない人が付けたのでは?

御本人が見たり聞いたりしたら、怒りますよ、きっと。

で、論評はいたしません。作品がどうのというレベルではなくて、モリコーネの哲学が素晴らしい。

「残りの人生をどのように過ごすべきか教えてくれてありがとう。大満足!」の一言に尽きます。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3

それはもう、泣かせる・笑わせる、忙しくてしょうがない作品でありました!

幼少時?のロケットに、そこまでの悲劇があったとは。

そして現在?のGOTGがあまりにも「変な奴ら」なのです。シーンとした劇場で、一人、笑いっぱなし。

やはりジェームズ・ガンは、脚本家、ディレクターとして天才ですね。

原作も読んでみたいのですが、映画だけでも十分満足。

GOTGのメンバーでは、女性陣の活躍が見ものでした。

おそらくはガモーラを演じるのが最後となるゾーイ・サルダナはもちろん、ネビュラ役のカレン・ギランも、マンティスのポム・クレメンティエフも大熱演。

そして忘れてはいけないのが、まぁ、ほとんどCGなのでしょうが、動物たちの存在。

唐突ですが、クライマックスに「手塚治虫ブッダ』の世界を見た」と言い切りたい。

『フォードvsフェラーリ』

『フォードVSフェラーリ

サブスクで鑑賞。

数年前、映画館でトレーラーを見たときには娯楽大作かな、と思ったのですが、社会派の要素も盛り込まれていた点は意外でした。

クリスチャン・ベールの好演?怪演?は痛快だし、マット・デイモンの役作りと演技は見もの。

しかし。

クライマックスは1966年のル・マンでマイルズがトップに立つ瞬間かな。その後は…

批評家からは絶賛されている同作ですが、個人的には、「営利主義が招いた八百長」がモチーフか、という受け止めしかできない。それを晒すことは必要ですけどね…

モヤモヤ感が少なからず残りました。

『ラーゲリより愛を込めて』

ラーゲリより愛を込めて』 2023年3月11日、下高井戸シネマにて鑑賞。

見応えについては、邦画としては十二分。お薦めの作品である。

『永遠の0』と雰囲気がよく似ていると感じた。後で知ったことだが、担当したシナリオライターが同じで、林民夫さんによる脚本とのこと。ネタバレを避けながら表現することが難しいが、『ラーゲリ』の〇〇ローグと『0』の〇〇ローグが類似のパターンであり、かつ対照的でもある。そして、『ラーゲリ』の終盤と『0』のそれとを比べると『ラーゲリ』のほうが格段に正当で、圧倒的に素晴らしい。ただし、(これもネタバレを避けながらの表現だが)〇者〇様の訪問シーンはストレート過ぎて先が読めてしまうので、もっとそれぞれの個性を生かした表現であればと思った。「戦争と平和」の対比についても一工夫がほしい。ただし、『0』のラストシーンのような珍奇なやり方ならないほうがましなので、再度、仕上がりを素直に讃えたい。

特にカメラワークは素晴らしかった。絶賛したい、というか、私の好みである。美術については、もっと泥、雪、水、濡れ、撥ねでドロドロに描かれていたらリアリティが増したはず。血についても同様。汗は作品の性質上、さほど必要ないかもしれない。

そして、文字や文章の意義と力を強調しながら、それらを奪われたらどうするかという点、人間が知恵を絞る様子、といった深刻なテーマは観客にきちんと届いたに違いない。

助演男優陣が素晴らしく、その中の一人を主演男優と入れ替えたらどうなるだろうかと想像した。

女優はKHさんかAYさんだったら、と同じく想像、というか夢想。スケジュールが埋まっていたのだろうか。あるいは…

といったところで余韻を味わいながら、余韻をもたせて雑感終了。

最後にもう一つ、原作者の辺見じゅんさん、素晴らしい作品を書き上げてくださったことに心から感謝を申し上げます。

Ant-Man and the Wasp: Quantumania

新宿ピカデリーにて『アントマン&ワスプ:クアントマニア』を鑑賞。

評判は今一つだが、程よいテンポでストーリーが展開し、あっという間にエンドロール。十分楽しむことができた。観る価値あり。(CG尽くしになってしまうのは仕方がないこととして諦める)

 

本編は良いのだが、問題はポストクレジット。

余韻と集中力が削がれるような感触があった。

新しいヴィランは十分強い。サノス以上であって申し分ないのだが、そのキャラを薄めてしまうようなポストクレジット。実に残念だ。

かつ、マルチバースやタイムラインの概念にそこそこ親しんできた観客でなければ理解できない内容だった。

 

MCUフェーズ5、ファンがついていけないほどに世界観が膨張し、噂されているスーパーヒーロー疲れに拍車がかかるなんてことにならなければよいのだが…